佐治川支流山王谷左俣(三国山)鳥取県佐治村
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コースタイム 山王滝-二俣(2時間)、二俣-大滝(2時間)、大滝-林道(40分)、林道-駐車場(2時間10分)
 佐治川ダム湖最深部の先に広い駐車場がある。山王滝までは遊歩道があり楽に行ける。その奥は古い軌道跡があり、所々歩けるが、殆んどが沢の中をへつったり渡渉して進む。二俣まで小滝のみだが、山王滝から2時間かかり、そこまで入る釣り人もまれであろう。
二俣は同程度の沢が合流しているのですぐに判断できる。左俣に入ると、沢幅もやや狭まり、岩壁も目立つようになり沢登りらしくなってくる。  小滝でも釜を持つものが多く、水も透明で美しい。いくつかの小滝をへつり、超えていくと10mの滝に立ちふさがれる。
左側の岩をザイルつけて登り高巻く。これを過ぎると流れはやや穏やかになり核心部は終わったかに思える。しばらく歩くと二俣になり、右の谷に滝が連続しているのが判る。  真夏に泳いで行って登る滝かもしれないが、あきらめて二つの沢を分けるリッジをザイルを付けて登り、連続した滝を巻く。
やがて15mの滝。右側の草付きを直上し、落口に向かってトラバースする。 小滝を二つ越えると大滝15mに突き当る。帰路を考えて、左側にある枝沢を登る。
 枝沢の小滝、堰堤、小滝と越えて行くと、やがてブッシュに阻まれてくる。ヤブをこいで左手の檜林に逃げる。さらに登って行くと、小尾根の稜線近くで仕事道に出会う。これをたどると運良く林道終点に出る事ができた。あとは延々2時間の単調な下山である。
  『川奥谷』   地域研究報告因幡の山やま 鳥取県東部山岳研究会議編 

佐治川の源流とも言えるこの川奥谷は三国山と高鉢山に囲まれた広く深い谷で、水量も多い。古くはブナ、トチの古木に覆われていて一般人は入山せず、わずかに木地屋が入り込んだに過ぎなかった。しかし三王谷国有林となってから伐採・植林のため二俣奥には三百人以上の宿泊出来る飯場が建設され、谷沿いには森林軌道が走りそのため原生林がほとんどなくなってしまった。

昭和三八年の集中豪雨によって森林軌道はズタズタとなり変わって三国山の山腹を横切る三王谷林道が開かれた。現在伐採・植林はほぼ完了し、荒れ果てたゴーストタウンと軌道跡に往時をしのぶばかりで谷沿いにはほとんど訪れる人もない。

佐治川との合流点から少し遡ったところに三王滝がある。落差二十mそこそこであるが水量が多いためなかなか豪快な滝である。近くには佐治村の観光行政の一環と言える立派な「たんぽり荘」と名付けられた研修施設がある。

沢登りの対象としては三王滝上下のゴルジュ帯、右俣の最初のゴルジュと滝群、右俣ゴーストタウンの上の滝くらいで他はゆるやかな川原歩きである。奥部の傾斜は多少きつくなるが大きな滝もなく、そのままヤブの稜線に突き上げている。

上へ 山王谷遡行図